増刊|コミック無責任&文芸たぶん

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ひとふで小説|レンガイケッコン(2)

ひとふで小説|レンガイケッコン(2)

これまでのお話:(1) (2)  いつもどおりに会釈して通過すると思った相手が管理人室の小窓に近づいてきたのは、会釈だけの関係が四ヶ月ほど続いたある昼下がりだった。抹茶色の紙袋を持って近づいてきた蓮本は、 「あのー…、和菓子、お好きですか…。餡子なんですけど…」 と、紙袋を持った左手を心臓あたりの高さに擡げて苦味のある笑顔で軽く頭を下げた。あいにく餡子が苦手な東之は、あー…と言いながら少しの間、逡巡して、 「き、嫌い…なん…です…」 と、軽く頭を下げ返した。  餡子好きに

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