前章:[I]〜[収録マガジン] V 櫓の火が足元を照らしてくれるようになったので、三人は交代で安全な草叢に入り、用を足した。ヴァンダレは平気だったが、シオとターレデは闇夜に慣れず、人魔が現れて間もない村の周りの木立ちも恐ろしく感じられ、尿意を催してもなかなか言い出せずにいたのだ。人…
前章:[I] II 二人が湯浴みする頃には陽がずいぶんと傾き、鮮やかに夕焼けしていた。風のない西の空で橙色に焼けた雲が有終の美をじっと待っている。冷えて澄んだ空気に混じって、近くからは虫の声や鳥の羽ばたき、峰々からはこの山に棲む獣たちの咆哮が聴こえてきた。地面に埋め込むようにして…