増刊|コミック無責任&文芸たぶん

3
ノート

ひとふで小説|7-イェダラスカレイツァ:バルヴァリデ[VII]

前章:[I]〜[収録マガジン]

VII

 心底、徹底して食を愉しむ主義なのか、或いは、単に口に合う食べ物が嬉しいのか。それとも、せっかく作ったターレデへの持て成しなのか、真意は分からなかったが、ヴァンダレの、どんなに真面目に話していても菓子を咀嚼するまでの間だけは顔が緩むところを、ターレデは既にひどく気に入っていた。
 また一つ、ターレデが作った菓子を口にほうったヴァンダレは、小麦酒を含んでか

もっとみる
読んでくれただけじゃなくスキまで押してくれるのか!
8

ひとふで小説|5-イェダラスカレイツァ:バルヴァリデ[V]

前章:[I]〜[収録マガジン]

V

 櫓の火が足元を照らしてくれるようになったので、三人は交代で安全な草叢に入り、用を足した。ヴァンダレは平気だったが、シオとターレデは闇夜に慣れず、人魔が現れて間もない村の周りの木立ちも恐ろしく感じられ、尿意を催してもなかなか言い出せずにいたのだ。人が居る、明るい場所では恥ずかしい。しかし、誰も居ない暗がりで済ますには恐ろしい。だから、炎がちょうど足元を照らし

もっとみる
あなたの今日の運勢は大吉!!いいことあってね!
14

ひとふで小説|1-イェダラスカレイツァ:バルヴァリデ[I]

I

 大巌猫と山耳犬を従えて育った女児が、明らかに「剣を」と決めたのは、相棒を人魔に斃された夕刻。己の剣で初めて触れたのは幾度も幾度も撫でた可愛い可愛い相棒の毛で、初めて斬ったものは可愛い可愛い相棒の皮と肉だった。人魔や魔物の牙や爪は生命を狂わせるはたらきをもっていた。傷口から湧いた魔虫は遺体を蝕み、死者に二度目の命を与える。こんどは、魔族としての。
 だから、愛する者を魔物に襲われて亡くした人

もっとみる
読んでくれただけじゃなくスキまで押してくれるのか!
14