増刊|コミック無責任&文芸たぶん

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ひとふで小説|8-イェダラスカレイツァ:バルヴァリデ[VIII]

ひとふで小説|8-イェダラスカレイツァ:バルヴァリデ[VIII]

前章:[I]〜[収録マガジン] VIII 相棒たちの遺体が綺麗な骨となったのはちょうど陽の出の頃だった。  優しくゆすり起こすと、半分寝惚けたままのシオはターレデの腰に抱きついて、幼児が口にする喃語のようなものを二、三呟いてから、はっ、としたように飛び起きた。  ヴァンダレが居たことを思い出したのだ。それから、昨日起きた悪夢のようなこともすべて、現実として。  ヴァンダレは、野宿を遂げたシオを労いながら、本当はもう少し短い時間で火の葬いを終えることもできるのだと説明した。

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ひとふで小説|7-イェダラスカレイツァ:バルヴァリデ[VII]

ひとふで小説|7-イェダラスカレイツァ:バルヴァリデ[VII]

前章:[I]〜[収録マガジン] VII 心底、徹底して食を愉しむ主義なのか、或いは、単に口に合う食べ物が嬉しいのか。それとも、せっかく作ったターレデへの持て成しなのか、真意は分からなかったが、ヴァンダレの、どんなに真面目に話していても菓子を咀嚼するまでの間だけは顔が緩むところを、ターレデは既にひどく気に入っていた。  また一つ、ターレデが作った菓子を口にほうったヴァンダレは、小麦酒を含んでから説明を続ける。 「…ところで、剣門を創った者のことを、剣の道では“士祖”と言います

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ひとふで小説|3-イェダラスカレイツァ:バルヴァリデ[III]

ひとふで小説|3-イェダラスカレイツァ:バルヴァリデ[III]

前章:[I][II]〜[収録マガジン] III  湯の波打つ音の合間を縫って遠くから人のざわめきが聞こえる気がしたかと思うと、母屋の戸が開く音がする。なんとも不躾な、宿屋の主人だろうか。考える間も無いうちに湯場に繋がる裏口の扉が開くと、勢いよく入ってきたのは従妹のシオだった。 「ターレデ!ターレデ、助けて!」  足を縺れさせながら駆け込んできたシオは一瞬だけヴァンダレの存在に怯んだが、そこから先は目もくれず湯場に浸かっているターレデの腕を自身も湯に濡れながら引いた。血の気

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