増刊|コミック無責任&文芸たぶん

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ひとふで小説|レンガイケッコン(4)

ひとふで小説|レンガイケッコン(4)

これまでのお話:(第1話)〜(収録マガジン) (4)  起き抜けの紅茶を啜りながら、蓮本は考え込んでいた。大問題は、“どう『結婚』を申し込むか” である。よくは知らない相手に、唐突に、しかも同性が。  きっと「女同士の話」と言っても異なる意味で取られるに違いないので、異性同士で言うところの「男女のこと」というのを、同性の場合は一体、どのように一言で、どのようにニュアンスごと表せばいいのか、蓮本には分からなかったが、とにかく恋や愛や結婚にまつわることで異性同士に起きても難し

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ひとふで小説|レンガイケッコン(3)

ひとふで小説|レンガイケッコン(3)

これまでのお話:(1)(2) (3)  昨晩、翌日の打ち合わせに備えて早寝するつもりだった蓮本のスマートフォンが、寝る支度を始めた頃に通知を鳴らしたので、仕事の用件か、一度「おやすみ」のメッセージを交わして寝たはずの彼が起きたのかと思って開いたら、電子書店のアプリが放った「読書ポイントの有効期限があと半日で切れます」というアラートだった。  ポイントなんかすっかり忘れていたくらいだから知らぬ間に失効していればどうでもよかったのに、「消えて無くなります」と知らされれば、なん

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ひとふで小説|レンガイケッコン(1)

ひとふで小説|レンガイケッコン(1)

(1) 「恋愛を結婚と繋げよう、というのがそもそも無理があるんじゃないかと思ったんですよね」  壇上で話す女性は、気位の高そうな仕立てのいいジャケットを、しゃきっと着こなしている。羽織っている、でもないし、着ている、でもない。しゃきっと着こなしている。  柔らかな髪が肩にもたれながら胸元に落ち、鎖骨のところどころを隠していた。時折体勢を変えると、そのたび首元のネックレスが照明にキラキラと反射する。  前職は自動車整備士だったと著者プロフィールには書かれていた。自身の恋愛体験

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