増刊|コミック無責任&文芸たぶん

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ひとふで小説|3-イェダラスカレイツァ:バルヴァリデ[III]

前章:[I][II]〜[収録マガジン]

III

 湯の波打つ音の合間を縫って遠くから人のざわめきが聞こえる気がしたかと思うと、母屋の戸が開く音がする。なんとも不躾な、宿屋の主人だろうか。考える間も無いうちに湯場に繋がる裏口の扉が開くと、勢いよく入ってきたのは従妹のシオだった。
「ターレデ!ターレデ、助けて!」
 足を縺れさせながら駆け込んできたシオは一瞬だけヴァンダレの存在に怯んだが、そこから

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ひとふで小説|2-イェダラスカレイツァ:バルヴァリデ[II]

前章:[I]

II

 二人が湯浴みする頃には陽がずいぶんと傾き、鮮やかに夕焼けしていた。風のない西の空で橙色に焼けた雲が有終の美をじっと待っている。冷えて澄んだ空気に混じって、近くからは虫の声や鳥の羽ばたき、峰々からはこの山に棲む獣たちの咆哮が聴こえてきた。地面に埋め込むようにして作った小さな湯場の周りには石畳が張られており、隙間の土からは緑の雑草がいくらか生えていたが、もう一息冷え込む頃には

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