増刊|コミック無責任&文芸たぶん

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ひとふで小説|レンガイケッコン(10)

ひとふで小説|レンガイケッコン(10)

これまでのお話:(第1話)〜(収録マガジン) (10) 「こんな作業服でこんな綺麗な車に乗るの、申し訳ないですね…。車側も想定してないんじゃないですか。…えっこんなダサい格好の人乗せるの?って思って、急にエンストしたりするんじゃないですかね…」  駐車場の中を徐行している時、東之が言った。両脇に並んでいる車の中には、蓮本の愛車をゆうに上回る高級車も並んでいたが、それでも内装も外装もこれほど手が行き届いている車はそうそう見つからなかった。 「いいじゃないですか、作業服。私好

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ひとふで小説|レンガイケッコン(9)

ひとふで小説|レンガイケッコン(9)

これまでのお話:(第1話)〜(収録マガジン) (9)  カン!とした、乾いたチリトリの落ちた音を、エントランスが幾重かに響かせる。  蓮本は持ってきた書き置き用のメモをくしゃくしゃにポケットへ突っ込みながら東之に駆け寄って、チリトリを拾ったついでに重そうなゴミ袋もやや強引に引き取った。 「あ、いいですいいです!汚いですよ!ごめんなさい!」 「だ、大丈夫ですか?痛かったですよね、今のは。転ばなくて良かったけど…」 「大丈夫です、すみません!あはは、もう。躓いちゃいました、不

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